本>私の男 桜庭一樹著

桜庭一樹という作家が気になっていた。「赤朽葉家の伝説」が「このミス」で2008年版国内2位ということもあり、遅ればせながら読むつもりだった。しかし、本屋で「赤朽葉」と一緒に最新作「私の男」というのを手にとって、急に気が変わり、こちらを読むことにした。

私の男
桜庭 一樹
文藝春秋
2007-10
定価 ¥ 1,550
おすすめ平均:
共感できない
しびれました。
引き込まれる凄さ
powerd by Amazon360

一気に読ませる力はあるが、あまり良い読後感ではない。これは万人向けではなく、一部読書通の人にしか受けないように思う。私のような平凡な人間からすると、異常で不気味で、どうしようもない感覚に襲われるが、おぞましいもの見たさで最後まで読んでしまった。

このブログでは、お勧めするものしか書かないことにしているので、ちょっとポリシーから外れていますが、それもこの小説が持っている力かもしれません。

話は、娘「腐野 花」とその養父「腐野 淳悟」の関係を、現在から過去に戻りながら、明らかにする。「腐野」という苗字がなんとも不気味。24歳の娘が結婚するところから、9歳の時の津波で家族を失うところまで遡る。9歳の娘を引き取る25歳の男というのが、かなり異常な設定です。読んでいて、暗い話ですが、読むのを途中でやめたくなる暗さではなく、引き込まれるような妖しい暗さです。

普通の人は、読まない方がいいと思います。妖しいものに惹かれる人だけにお勧めです。
2008年版「このミス」では、24位にこの本がランクされていますが、これはミステリではないと私は思います。
「週間ブックレビュー」というTV番組で、桜庭一樹本人を見たことがありますが、小柄で本当に普通の女性という印象があったので、こんな本を書く人だとは想像できなかった。読み終わった後も、本当にあの人が書いたのだろうか、と思い続けている。

2007年12月14日 | Posted in | | No Comments » 

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください