本:メディアの支配者

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中川 一徳

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この本を読むきっかけは、ホリエモンのニッポン放送敵対的買収事件だ。なんでフジテレビを支配するのにニッポン放送なのか、そしてフジテレビの日枝会長というのは何者なのか、そういう疑問を解いてくれるのではないかという期待があったからだ。その期待を本書は裏切ることなく、克明に綴ってみせる。


最初の疑問は、フジサンケイグループを牛耳った鹿内家はどうやって支配を確立したか、そして三代目鹿内宏明は、いかに失脚したか。二番目の疑問は、2005年になってなぜニッポン放送の敵対的買収事件は起こったのか。この回答は、一代目鹿内信隆は、ニッポン放送を退職した人間から株を買い集め筆頭株主となっている。こういうことは法律に触れないのだろうか。三代目が失脚したのは、どうもサンケイ新聞の販売員の使い込みを内部でもみ消そうとしたところを警察に渡したことにあるようだ。この処置そのものは正しいが、経営陣の多くが不満を持ち、解任の引き金となっている。もちろん、一番大きいのは宏明が信隆の娘婿であって、子供ではないことだろう。信隆の死去によって、足かせがなくなったというのが本音のようだ。さらに、ニッポン放送の買収劇は、ニッポン放送がフジテレビを支配する関係を終わらせることが目的で、つまり鹿内宏明の持っているニッポン放送株を無効にするためでもあったわけだ。

上記のことは、既にいろいろなところで書かれているが、その成立から含めて、こんなこんがらがった事情をきちんと説明した本書は面白い。本来放送という公共のものを一家の持ち物のようにした罪は大きい。そもそも、いろいろな会社に株を分散させた意味は、独占や偏りを許さないためだったはずで、ここでは「会社はだれのものか」といった時、株主の発言力は規制され、現場に委ねられていたのだろう。

しかし、ここまでメディアを支配するだけでなく、世襲制にする馬鹿げた人間にはあきれた。グループとしての相乗効果があるかどうかは別として、そこまで効率的な経営をして強くする必要性は感じないし、いらない新聞社なら潰したほうが良いように思う。

こうやって今までの事情がわかってくると、日枝会長の横柄な態度もホリエモンの発言もどちらもそれなりの言い分があることはわかる。しかし、TV放送局というのは膨大な資産を持っており、人が群がってくることがよくわかる。さて、インターネットというチャネルが追加されて、デジタル放送というのはどうなっていくのだろうか。もう電波で送る必要はないような気がする。未来のTVは、LAN端子だけしかついていないものにならないか?買ってきて、LANにつなげて、リモコンでみる。表面上は何も変わらないが、チャンネルは無数にあって、番組検索なるものから自動的に選ばれるような。ビジネスモデルは、広告入りで無料か、有料で広告なしの二つしかないんでしょうね。そうなったとき、アンテナっていらないのでは?

2005年11月01日 | Posted in | | No Comments » 

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