百冊005:ソニーの革命児たち

ソニーの革命児たち―世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動
麻倉 怜士

発売日 1998/10
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お奨め度:★★★★★ ★★★★★(10)

この本は、コンピュータの歴史と社内ベンチャーの二つのカテゴリーでとても参考になる、というか興奮させられます。


この本を読むと、久多良木さんの発想の凄さがわかります。簡単に言うと、ムーアの法則とゲームビジネスの法則と流通革命の三者が合わさって、「プレイステーション」ができあがったということです。「プレイステーション」がでてきたとき、私が一番驚いたのは、アーキテクチャなどのハードウェアではありません。ソフト開発者の呼び込む方法と流通システムの新たな構築に、あの初心会の理不尽な体制を砕き、すべてを任天堂から変えてやるという意気込みを感じたところです。

マスクROMでのビジネスは、少ない優秀なソフトで稼ぐ方向へ向かっていきますが、CD-ROMを媒体とした在庫を抱えないシステムでは、少数精鋭から多品種少量生産を可能とし、さまざまなジャンルのソフトが生まれました。かなり実験的なものでも、小さいリスクで世の中に発信することができるのです。これこそが、従来のシステムを駆逐し、多くの人が参入できるプラットフォームを確立するために必要だったのです。このような参入障壁を減らす努力、開発ツールの安価な提供も含めて、開発者に有利な条件を与え開発者を集めること、これが主導権を握る決定的な要因です。方法は、MicrosoftのWindowsも同じです。一度確立したプラットフォームは、相当なことをしなければ、取り返すことはできません。

既に「プレイステーション」は10年目を迎えています。任天堂もいずれ一ソフトメーカーに成り下がる可能性が高くなってきました。今はGameBoy Advancedがありますが、これはスーパーファミコンの遺産で食べているようなもので、いずれ「プレイステーション」の携帯版がでることで、ソフトの量、価格、性能で太刀打ちできなくなります。

ここまでのことを成し遂げられた理由は、本書で十分語られています。
会社の中で縦横無尽に暴れまわる久多良木さんの活躍は、本当に面白い。これは1998年の出版です。その後の「プレイステーション2」の話が読みたくなってきました。

2004年06月10日 | Posted in 電脳:百冊 | タグ: No Comments » 

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